注文住宅で後悔しない注意点10|売り手が言わない"損の大きい順"を宅建×FPが解説

執筆・監修:マイホーム研究所 編集人(宅建士・FP・賃貸不動産経営管理士)|2026年5月更新 ・ 読了目安 約6分

注文住宅は、多くの人にとって一生で一番大きな買い物です。だからこそ「失敗したくない」と感じるのは当然のことです。

注意点をまとめた記事はたくさんあります。ただ、その多くは家を売る側が書いたものです。売り手にとって都合の悪いことは、書かれにくい傾向があります。

この記事では、家を売らない立場の宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーが、放っておくと損が大きい順に10個を並べました。上から順に読めば、途中でやめても大切なポイントから押さえられます。

まず結論:注意すべき10のこと

  1. 住宅ローンは「借りられる額」ではなく「返せる額」で決める
  2. 予算は「建物本体の価格」ではなく「総額」で考える
  3. 土地は「建ててから」では直せない。先に疑う
  4. 1社だけで決めず、複数社を自分で見比べる
  5. 「今だけ」「今月中なら」で契約を急がせる営業に注意
  6. 2026年は「価格高止まり・金利上昇」を前提に資金計画を立てる
  7. 住宅性能(断熱)をケチらない。等級4が最低ラインになった
  8. 間取りは「図面」だけで決めない
  9. 見積もりの「込み」と「別料金」を契約前に確認する
  10. 完成までの期間と仮住まいの費用も見込んでおく

1|住宅ローンは「借りられる額」ではなく「返せる額」で決める

住宅ローンを「借りられる額」だけ借りると、生活が苦しくなるケースがあります。

銀行が提示する「借りられる額」(融資の上限額)は、あなたが「無理なく返せる額」ではないからです。

銀行はあなたの収入に対して、返済できる金額を綿密に計算します。返済比率や現在の借入状況、過去の滞納歴などから、銀行が損しない融資額を提示するのです。

融資の上限で借りると、生活費を圧迫したり、家電の故障時に焦ることになったりしてしまいます。無理なく返せる目安は、毎月の返済額を手取り収入の20〜25%以内に抑えることだとされています。

自分の理想を詰め込みたい誘惑に負けず、建てた後の生活が満足できるよう資金計画をしておきましょう。

プロの視点

銀行は「貸したい」立場です。提示額は“あなたが返せる額”ではなく“銀行が回収できる額”だと考えてください。営業に「これだけ借りられますよ」と言われても、判断軸はあくまで自分の手取りに置くのが安全です。

2|予算は「建物本体の価格」ではなく「総額」で考える

注文住宅の費用は、建物本体の価格だけでは終わりません。本体工事費は総額の7〜8割ほどで、残りの2〜3割は別にかかるからです。

残りの2〜3割は、付帯工事費(地盤改良・外構・給排水の引き込みなど)と諸費用(登記・ローン手数料・税金など)です。これらは、カタログに載っている「坪単価」には含まれていないことがほとんどです。

本体価格だけで予算を組むと、契約後に数百万円単位の追加が出て、資金が足りなくなります。

最初に「総額でいくらまで出せるか」を決め、本体価格はその7〜8割に収まるよう逆算しておきましょう。

3|土地は「建ててから」では直せない。先に疑う

土地の問題は、家を建てたあとでは取り返しがつきません。建物は造り直せても、土地そのものは変えられないからです。

たとえば地盤が弱ければ、数十万〜数百万円の地盤改良が必要になります。ハザードマップ上で浸水の恐れがある、希望の大きさの家が建てられない法規制がある、といったケースもあります。こうした土地のトラブルは、思っている以上に多く起きています。

売り手は土地を売りたいので、こうしたマイナス面を自分から細かく説明するとは限りません。

土地は「気に入ったから買う」の前に、地盤・ハザードマップ・建築の制限を必ず自分で確認しましょう。

4|1社だけで決めず、複数社を自分で見比べる

依頼先は、1社だけを見て決めないことが大切です。比べる相手がいないと、その会社の価格や提案が高いのか安いのか、良いのか悪いのか判断できないからです。

同じような条件でも、会社によって数百万円の差が出ることは珍しくありません。担当者との相性も、家づくりの満足度を大きく左右します。

「相見積もりは2〜3社まで」という意見も見かけますが、これは対応の手間を減らしたい売り手側の都合でもあります。まずは複数社の提案を見比べて、相場感をつかむことが先です。

1社の営業に流される前に、複数社のカタログをまとめて取り寄せ、自分の目で比較するところから始めましょう。

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5|「今だけ」「今月中なら」で契約を急がせる営業に注意

契約を急がせてくる営業には、いったん立ち止まってください。冷静に比べる時間を与えないことが、相手の狙いである場合があるからです。

「今月中に契約すれば値引きします」「この条件は今だけです」といった言葉は、判断を急がせる典型的な手法です。焦って契約すると、ここまでの1〜4(お金・土地・比較)の確認を飛ばしてしまいます。

本当に良い会社であれば、こちらが納得するまで待ってくれます。

値引きやキャンペーンを理由に急がされたときほど、一度持ち帰って、家族と冷静に話す時間を取りましょう。

6|2026年は「価格高止まり・金利上昇」を前提に資金計画を立てる

2026年に家を建てるなら、いまの経済状況を前提に資金計画を立てる必要があります。建築費が下がりにくく、住宅ローンの金利も上がる動きが続いているからです。

建材費や人件費の高止まりで、住宅価格はここ数年、高い水準が続いています。さらに、日銀の金融政策の転換で、長期金利は上昇傾向にあります。金利がわずかに上がるだけでも、総返済額は数十万〜数百万円単位で変わります。

「数年前の相場」や「親世代の感覚」で予算を考えると、計画がずれます。

最新の建築費と金利を前提に、返済計画を見直しておきましょう。

7|住宅性能(断熱)をケチらない。等級4が最低ラインになった

住宅の断熱性能は、目に見えないからと削らないことが大切です。性能の低い家は、住んでからの光熱費と快適さに長く影響するからです。

2025年4月から、すべての新築住宅で断熱等級4への適合が義務になりました。これまで努力目標だった基準が、最低ラインになったということです。さらに2030年ごろには、より高い等級5が基準になる見込みです。

つまり、最低ラインの等級4で建てた家は、数年後には「型落ち」と見られる可能性があります。光熱費だけでなく、将来売るときの資産価値にも関わる部分です。

予算が苦しいときに削りやすいのが性能ですが、後から上げるのは難しい部分です。等級4を出発点に、可能な範囲で上の性能を検討しましょう。

8|間取りは「図面」だけで決めない

間取りは、図面の見た目だけで決めないようにしましょう。紙の上の図面では、実際の暮らしやすさまで想像しきれないからです。

たとえば、生活の動線(毎日の動きの流れ)、コンセントの位置や数、朝と夜の日当たり、収納の使いやすさは、図面を眺めるだけでは気づきにくい部分です。間取りの後悔は、住んでから「ここを失敗した」と気づくケースがとても多いのが実情です。

モデルハウスや完成見学会で実物を見て、可能なら同じような間取りで一日の動きを想像してみてください。

図面に「OK」を出す前に、自分たちの生活を当てはめて確認しましょう。

9|見積もりの「込み」と「別料金」を契約前に確認する

見積もりは、「どこまでが価格に含まれているか」を契約前に確認してください。「総額これくらい」という説明だけで契約すると、あとから追加費用が出ることがあるからです。

たとえば、食器洗い機やカップボード、カーテン、照明、外構などが「標準仕様」に入っておらず、別料金(オプション)だった、というのはよくある話です。これが積み重なると、数十万〜百万円単位で予算が膨らみます。

見積書のどこまでが「込み」で、どこからが「別」なのかは、聞かなければわからないことが多いです。

契約前に「この金額に含まれていないものは何ですか」と、必ず確認しておきましょう。

10|完成までの期間と仮住まいの費用も見込んでおく

家づくりは、建物の費用だけでなく、完成までの段取りと費用も見込んでおきましょう。注文住宅は契約から入居まで時間がかかり、その間にもお金が動くからです。

土地探しから入居まで、一般的に1年前後かかることも珍しくありません。いま賃貸に住んでいる場合は、その間の家賃と新居の費用が重なる時期も出てきます。建て替えなら、仮住まいの費用や引っ越し代も必要です。

こうした「建物以外の出費」は見落とされがちで、後から家計を圧迫します。

スケジュールと、その間にかかるお金も、あらかじめ計画に入れておきましょう。

まとめ|まずは「お金・土地・会社選び」から

注文住宅の注意点を、損の大きい順に10個見てきました。すべてを完璧にこなす必要はありません。ただ、上位の「お金(1・2)」「土地(3)」「会社選び(4)」だけは、外さないようにしてください。

この3つに共通するのは、「最初に・自分で・複数を比べて確認する」ことの大切さです。

特に会社選びは、1社の話だけを聞いて決めると、価格も提案も比べようがありません。中立に比べるための第一歩として、複数社のカタログをまとめて取り寄せ、自分の目で見比べるところから始めるのがおすすめです。

この記事を書いた人:マイホーム研究所 編集人

宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/賃貸不動産経営管理士

不動産の現場で家づくりの相談に携わる。「売り手の論理ではなく、建てる人の味方」を信条に発信しています。

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